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《第10問》
child の複数形が children になるのはなぜでしょうか。

正解

不正解

解説

  child の古英語の形はcild [チルド] です。語頭の c は [tʃ] [チ] という発音です。古英語のころに -ru という複数語尾がありました。この語尾付加により cildru [チルドル] という複数形が作られました。ところが、-ru の他にも –en という複数形があり、cildru がすでに複数形であることを忘れて、cildru にさらに –en が付加されて cildruen となりました。強強勢は i に置かれて cíldruen となり、-ruen の部分の強勢は弱くなります。その結果、u [ u ] → [ ə ] となり、綴りからも消えて cildren となりました。語頭の c [t] はフランス語の影響もあり ch となり、現代英語の children となったのです。つまり、children は -ru と -en という二つの複数語尾を持つ二重複数形の語です。同じような二重複数形を持つ語には brethren 「兄弟、仲間」があります。
  英語と全く関係のない言語である日本語の「子供たち」も二重複数形なのです。「子供」の「供」は複数を表す語ですから、「子供」はすでに「何人かの子」の意味ですが、「供」が複数であることが忘れられて、「子供」+「たち」→「子供たち」となっています。

より詳しい解説を読む

  ところで、child [tʃ˘aild] → children [tʃildrən]で [ai] → [ i ] の変化はどのように生じたのでしょうか。後期古英語のころ -ld や –nd の前にある母音は長音化しました。その結果、cild は [チールド] となりました。つまり、[ i ] → [ i꞉ ] に変化したのです。この [ i꞉ ] が大母音推移によって [ai] となりました。一方、複数形cildruen になると i は [ ai ] → [ i ] の変化をしています。複数形では -dlr- という三つの子音が連続することになり、これが長母音 [ai] (二重母音も長母音と同じ)を短母音 [ i ]にする原因だったのです。

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