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すべての問題にチャレンジ!(47/80) | ロミオとジュリエット | リベラルアーツ英語検定クイズ

リベラルアーツ英語検定クイズロミオとジュリエット > すべての問題にチャレンジ!(47/80)

《第47問》
1974年に日生劇場(東京)において、ロミオ役に市川染五郎(松本幸四郎)、ジュリエット役に中野良子を起用して『ロミオとジュリエット』を演出したのは誰か?

正解

不正解

解説

江守徹(1944- )、出口典雄(1940- )、蜷川幸雄(1935- )の三人は、日本におけるシェイクスピアを牽引し続けてきた偉大な演出家であるが、問題文にある作品を演出したのは蜷川幸雄である。蜷川は、現時点(2014年9月)までに合計四本、『ロミオとジュリエット』を舞台に掛けているが、そのうちの最初のものが1974年のこの公演である。

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当時、「櫻社」という劇団の中心的存在であった蜷川が、その頃、西洋の演劇批評界で絶大なる影響力を持ち日本語にも訳されていたバフチーン(Mikhail Mikhailovich Bakhtin, 1895-1975)の『フランソワ・ラブレーの作品と中世・ルネッサンスの民衆文化』(川端香男里訳、せりか書房、1973年)の理論を応用し、台本のサイレントな部分に多くの民衆を登場させ、彼らが放つ祝祭的でかつ転覆的なエネルギーを表現してみせるという、日本では新しい試みを行った作品が、彼の手がけた最初の『ロミオとジュリエット』である。
 演劇評論家の扇田昭彦は、2014年8月に彩の国芸術劇場(埼玉)で公演が行われた『Ninagawa Shakespeare Legend 1 ロミオとジュリエット』のプログラムに寄せた「蜷川版『ロミオとジュリエット』―― 40年間にわたるその4度の挑戦」と題するエッセイの中で、当時をこうふり返っている。

「まず、この舞台は端正な気品を重視してきた新劇系のシェイクスピア上演スタイルに真っ向から対立し、それを壊してしまった。アングラ演劇特有の躍動感、視覚性、強い身体性、熱いパッション、猥雑感といったものを、日生劇場の空間に大胆に持ち込んだのだ。
 戯曲のト書きにない多くの周辺の民衆(不具者、物乞いを含む)を躍動的な形で冒頭から登場させたのも新鮮だった。」

 近年、蜷川が演出し(そのうちのいくつかは DVD となって市販されている)「彩の国シェイクスピア・シリーズ」の数々の作品は、蜷川が当初から拘り続けたこの演出方法が結実したものとなっている。歌舞伎役者の市川をロミオ役に起用することで、日英における大衆演劇の融和を試みようとした工夫も、その後の「ニナガワ・シェイクスピア」でも何度か繰り返されてきた点である。

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