リベラルアーツ英語検定クイズロミオとジュリエット > 2015年07月23日更新分(1/3)

《第49問》
シバー(Theophilus Cibber)の書いた通称「シバー版『ロミオとジュリエット』」の表題は次のうちのどれか?

正解

不正解

解説

a) は第二・四つ折本(Q2, 1599)、b) はギャリック版(1748)の表題である。
 既に述べたように、シバーが『ロミオとジュリエット』を上演した頃には、オリジナルのシェイクスピアという謳い文句はあまり流行らなくなっていて、演出家がそれを如何に「改良」したのかという点に関心が集まるようになっていた。オットウェイの翻案劇、『ケイウス・マリウス』が長く絶大な人気を博したことを受け、シバーは、オットウェイの芝居の筋を基本としながら、『ロミオとジュリエット』を「復活」させたのであった。

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筋や人物像が単純で明快なフランス演劇の流儀が大きな影響力を有した時代であったから、内乱以前のイギリス演劇に見られた自由奔放なスタイルの作風は「古く」、そして、「粗野で洗練されないもの」であるという考えが、民衆の間にも拡がっていたのである。参考までに、この時代に上演された注目すべきシェイクスピア劇のタイトルをいくつか挙げておくと、

●The Tragedy of Julius Caesar: With the Death of Brutus and Cassius; Written Originally by Shakespear, and Since Alter'd by Sir William Davenant and John Dryden Late Poets Laureat (1719)
●The Students, A Comedy. Altered from Shakespeare's Love's Labours Lost, and Adapted to the Stage (1762)
●Macbeth a Tragedy. With all the Alterations, Amendments, Additions, and New Songs (1674)
●The Winter's Tale, a Play. Alter'd from Shakespear (出版、1756)
●King Richard II. A Tragedy. Alter'd from Shakespear (1754)

といった具合であり、altered やadapted という類の宣伝文句が当たり前のように目立つ。また、オットウェイの『ケイウス・マリウス』やドライデンの『すべては恋ゆえ』などのように、テーマや話の筋に至るまで改変されたもはや「翻案」というより「改作」と呼ぶべき作品もあったが、それらはいつも決まって「原作」よりも高い人気を誇っていた。
 しかし、一方で、それらが元々はシェイクスピアの手になる芝居であるという情報は、詩人が生きていた時代よりも強調されていた。

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