《第8問》
doubt [daut] 「疑う」の b はなぜ発音しないのでしょうか。
正解
不正解
- 発音しにくいから
- 前と後ろにある u と t の影響から
- ラテン語の影響から
- 発音しにくいから
- 前と後ろにある u と t の影響から
- ラテン語の影響から
- 解説
-
doubt [daut] の b が発音されないのは、第7問で取り上げた handkerchief の d が発音されないのとはまったく別の理由によります。ルネサンス期の初期近代英語では大量のラテン語が流入しました。これが英語の綴りに大きな影響を与えたのです。doubt は中英語のころ、古フランス語から英語に入ってきた外来語です。流入した時の doubt の形は b のない doute でした。この doute はラテン語では b のある dubitare でした。ラテン語が多く借用された初期近代英語では doute の本来の形は b のあるラテン語の綴りが正しいと考えられて、元はなかった b が doute に加えられて doubt となりました(doute の e は ou の部分に強強勢が置かれて、語末の e は弱く発音され、やがてはほとんど発音されなくなり、綴りからも消えたのです)。
より詳しい解説を読む同じことは debt [det] 「 借金」、receipt [risi꞉t] 「領収書」、island [ailənd] 「島」などにも言えます。debt は古フランス語から借用された語で中英語では dette と綴られていましたがラテン語 debitum の影響で b が挿入されたのです。receipt は古フランス語 recoite から中英語に入った語であり、中英語では receite という形でした。17世紀頃ラテン語の recipere の過去分詞 recepta の影響で この語に p が加えられたのです。しかし、発音はされませんでした。 island の古英語の形は igland でした。この ig は「島」の意味です。ところが、15世紀頃古フランス語の ile と混同されて ileland となりました。さらに17世紀頃ラテン語の insula 「島」の影響で ile が isle と綴られてisleland となり、18世紀には現在の island と綴られるようになりましたが、この s は発音されないままです。