リベラルアーツ英語検定クイズ英語の不思議 > 2015年06月25日更新分(1/1)

《第6問》
woman の複数形 women の発音は [wimin] [ウィミン] ですが、o がなぜ [ i ] [ィ] と発音されるのでしょうか。

正解

不正解

解説

  発音の説明をする前に、woman の意味についてふれておきます。woman の古英語の形は wifman でした。この形は wif とman からなる複合語です。Wif は現代英語の wife ですが、意味はドイツ語の Weib と同じように主に「女」です。Man は本来「人」の意味ですから wifman は通常「女の人」または「人の女」(つまり、「妻」)という意味になります。ところが wifman がほとんど「女の人」の意味で使われるようになり、wif との意味の「住み分け」が始まり、現代英語の wife は「妻」、woman は「女」となりました。ドイツ語では Weib が「女」の意味であり、「妻」の意味では Frau が使われています。
  次に発音ですが、古英語で wifman であった語がなぜ woman になったのか。13世紀頃最初の w の影響を受けて、i [ィ] が u [ウ]の音に変わったのです。これは w [ウ] が唇を円くして発音する音だったので、次の i も唇を円くして発音するようになり、u [ウ] に近い音に変わったためです。Wif の f は次の m の影響で -mm- となり、f が消えるという現象も同じころに起きたのです。つまり、wifman [ウィ(ー)フマン ] → wumman [ウマン](子音が二つ続くと――ここでは -mm- ――その前にある長母音は短母音となります)となり、m が二つあるので一つが消えて wuman [ウマン]となりました。
  それでは wuman はなぜ woman と綴られるようになったのでしょうか?このころは英国には印刷技術はなく、すべて手書きでした。そのため m、n、w、u、v の前後の u は綴りを明瞭にするために o と書かれるようになり、その結果 woman となったのです。このような現象は come [kʌm] [カム] にも見られます。古英語では cuman と綴られていたのです。
  しかし、複数形の women の wo はなぜ [wu] という発音になっていないのでしょうか?
  古英語での wifman の複数形は wifmen でした。上に述べましたように、13世紀頃単数の wi は wu に変化しましたが、複数形の wifmen にはこの変化が生じなかったのです。なぜ同じ変化が起きなかったのかということですが、i が u になるのはその後ろに a がある場合なのです(つまり、単数形の –man の a)。後ろに e が来る場合は i がそのまま変化しないで残ったのです。このような理由から複数形の場合は綴りは women と o のままで発音だけが [ i ] [ィ] となったのです。

より詳しい解説を読む

  もう一つ、-men の e はなぜ [ i ] [ィ]になっているのでしょうか。これは wo の o が [ i ] という発音になっている影響で [ e ] → [ i ] に変化しました。
  少々複雑な説明になりましたので、綴りの変化だけを以下に図示してみます。

       単数形      複数形
10世紀   wifman       wifmen 
           i → u
        ↓ fm → mm    ↓ fm →mm
        
13世紀    wuman       wimen
   
         ↓ u → o     ↓ i → o

14世紀   woman        women

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