リベラルアーツ英語検定クイズロミオとジュリエット > 2015年03月05日更新分(2/3)

《第23問》
『ロミオとジュリエット』の中で、ソネット形式で書かれているシーンはどこか?

正解

不正解

解説

第一幕第五場の次のロミオとジュリエットの対話は、原文では十四行のソネット形式になっている。

  ロミオ(ジュリエットに) もしもこの卑しい手が/聖なる御堂(みどう)を汚すなら/やさしい罪はこれ、/僕の唇は顔赤らめた巡礼ふた
   り、こうして控え/そっと口づけして、手荒な手の痕(あと)を清めよう。
  ジュリエット 巡礼様、そうおっしゃってはあなたの手がかわいそう。/こんなにも礼儀正しく帰依する心を示しているのに。聖者の手は巡
   礼の手が触れるためにある。/手の平の触れ合いは、巡礼たちの口づけ。
  ロミオ 聖者にも巡礼にも唇があるのでは?
  ジュリエット ええ、巡礼様、お祈りを唱える唇なら。
  ロミオ ああ、それなら、いとしい聖者、手がすることを唇にも。唇が祈ります――どうか、信仰が絶望に変わりませんよう。
  ジュリエット 聖者の像は動きません、たとえ祈りの心は汲んでも。
  ロミオ では、動かないで、祈りの成就をみるまでは。
                                                 (キスをする)

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 ソネットとは英国では十四行詩を指す。イタリアの伝統的な詩形式で、元々は楽器の伴奏にあわせて歌う十八行の詩であったが、ルネッサンスの時代に英国に輸入された後に、十四行の形式となった(齋藤勇監修『研究社英米文学辞典』第三版, 研究社,1985を参照)。英国式ソネットは、通常、三つの四行連(quatrain)と韻を踏んだ二行対句(rhyming couplet)を標準型とする。この形式は、人々が音楽的な詩を好んだエリザベス朝の時代、特に、1590年代に流行した。
第一幕第五場の次のロミオとジュリエットの対話は、原文では十四行のソネット形式になっている。

現代人の感覚からするとかなりキザに思えるこの洒落た演出は、ソネットを好んだ当時の観客の心を虜にしたに違いない。(なお、これに続くロミオの「あなたの唇のお蔭で. . . 」からジュリエットの「お作法どおりのキスね。」までを含めて、この恋の場面を十八行のソネット形式と解釈する学者もいる。)
 しかし、今日では、英米の大学でも、この部分がソネットで綴られていることをテクストが注釈で説明するか、あるいは教師が解説するかしなければ、学生はそれに気づかずに読んでしまうところである。そのためか、演出家たちは、(ゼフェレーリやラーマンが見事に行なっているように)この場面をテーマ音楽で飾るなどして、当時の観客の耳にはよく響いていたと思われる台詞の音楽性を観客に感じ取らせる工夫を凝らしている。

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