リベラルアーツ英語検定クイズ英語の不思議 > 2017年03月02日更新分(1/1)

《第93問》
John F. Kennedyのようにミドル・ネーム( F. )が使われているのはなぜでしょうか?

正解

不正解

解説

ミドル・ネームのように名を重ねる習慣は17世紀から始まりました。1650年生まれのチャールズ2世の嫡子でない子に Charlottte Jemima Henrietta Mariaと名づけられたことで流行しだしたようです。もともとは母方の旧姓を残すとか、同姓同名の混乱を避けるのが目的だったとされています。イギリスでは二つの洗礼名を持つこと自体不遜であるとの風潮が根強く、一般に定着するのは19世紀になったからです。アメリカでは18世紀頃から使われています。アメリカのミドル・ネームの特徴は John F. Kennedy の F. のように、頭文字で略記する場合が多いのです(John F. Kennedyの F. はFitzgeraldの略)。一方、イギリスではこの習慣を嫌って、D. H. Lawrence のように洗礼名もミドル・ネームもすべて頭文字にするか、David Herbert Lawrenceとフルネームにするのが普通です。
ミドル・ネームは父方や母方の祖父の名前に限らず、聖人名などをつけたりと、様々です。ローマ帝国のジュリアス・シーザーのフルネームはガイウス・ユリウス・カエサル・インペラ―トル (Gaius Julius Caesar Imperator) と言います。Gaiusは個人名、Julius は氏族名、Caesar はあだ名(または家名)、Imperator は栄誉名です。あだ名のCaesarは「頭髪の豊かな、毛深い」の意味です。ルネサンスの巨匠ミケランジェロの本名はミケランジェロ・ロドビコ・リオナルド・ディ・ビオナロッティ・シモーニ (Michelangelo di Lodovico di Lionardo di Buonarroti Simoni) であり、「シモーニ家ビオナロッティの息子のリオナルドの息子のロドビコの息子ミケランジェロ」という意味です。ミケランジェロはもちろんイタリア人ですが、このような長い命名法はアラブ・イスラム式と呼ばれています。国際的テロリストだったビン・ラディン (Osama bin Ladin) [Osama はgiven name、Ladin は family name]の本名はオサマ・ビン・ムハンマド・ビン・アワド・ビン・ラディン(ラディン一族のアワドの息子のムハンマドの息子オサマ)です。ビン・ラディンはマスコミが使った略称で、姓ではなく、「ラディン(=信仰に誠実)一族の息子」の意味になります。
  もう一つ長い人名を紹介します。ビルマ語は単音節語が豊富なので、めでたい意味を持つ音節を組み合わせて命名されます。民主化運動で有名なアウン・サン・スー・チーさんは「アウン(勝利)・サン(百万)・スー(集合)・チー(清らか)」と1音節ごとにそれぞれ意味を持ち、アウン・サンは彼女の父親の名、スーは祖母ドー・スーの名、チーは母親の名前からとったものです。
  最も長いミドル・ネームはリヴァ―プールの洗濯屋ペッパー (Arthur Pepper) が娘につけた名です。それは次のような名です: Anna Bertha Cecelia Diana Emily Fanny Gertrude Hypatia Inez Jane Kate Louise Maud Nora Opkelia Prudence Quince Rebecca Sarah Teresa Ulysis Venus Winifred Xenophon Yetty Zeno Pepper. 長すぎるのとアルファベットが全部入っていることから、実際は Alphabet Pepperと呼ばれていました。
(岩崎・他 1996: 334-335 参照)

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