《第51問》
It rained. はなぜ「雨がやんだ」という意味にならないのでしょうか。
正解
不正解
- 天候を表す動詞は否定の意味を含まないから
- rain は非人称動詞だから
- 名詞転換動詞に否定の意味を負わせるのは無理だから
- 天候を表す動詞は否定の意味を含まないから
- rain は非人称動詞だから
- 名詞転換動詞に否定の意味を負わせるのは無理だから
- 解説
-
第50問の解説で述べたように、rain は転換によって名詞 rain から動詞 rain になった語です。転換は有形の接辞付加ではなくいわゆるゼロ形態素によって品詞が変化する現象です。次の例を比較してみましょう。
より詳しい解説を読む
(1) atom (n.) + -ize → atomize (v.)
(2) rain (n.) + ゼロ形態素 → rain (v.)
(1)では名詞 atom 「原子」に動詞を派生する接尾辞 –ize が付加されて atomize 「原子にする」という動詞が形成されています。一方、(2)では名詞 rain に無形の接尾辞であるゼロ形態素が付加されて rain 「雨が降る」という動詞が派生されています。「雨がやむ」とは not rain 「雨が降るのをやめる」ということですから、否定の意味は not が担うことになります。この not をゼロ形態素に負わせるのは無理があるのです。次の例を見てみましょう。
(3) John boned the fish.「ジョンは魚の骨を取り除いた」
この例では名詞 bone 「骨」がゼロ形態素によって bone 「骨を取り除く」という動詞になっていますが、「除去」を意味する接頭辞 de- が付加された debone 「骨を取り除く」が使われている場合も多いのです。
(4) John deboned the fish.
これはゼロ形態素付加で派生した動詞 bone に「除去」の意味を持たせるのは無理と考えた結果です(影山 〈1999: 85-86〉 参照)。