《第16問》
『わたしを離さないで』のキャシーやルースらは、子ども時代に失くしたものは、どこに行けばすべて見つかるといっているか?
正解
不正解
- ドーバー(Dover)
- ドーセット(Dorset)
- ノーフォーク(Norfolk)
- ドーバー(Dover)
- ドーセット(Dorset)
- ノーフォーク(Norfolk)
- 解説
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キャシーは、ジュディ・ブリッジウォーターのSongs After Darkのカセットテープを販売会で買った後、実は、一度失くしている。トミーは、ノーフォークで偶然にジュディのカセットを見つけ、それをキャシーにプレゼントするのである。キャシーは後に、そのときのことを思い返し、ノーフォークについて次のように説明する。
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ヘールシャムにいた頃、エミリ先生はイギリスの地図を広げ、州や地域の説明をする授業をしていた。例えば、オックスフォードシャー(Oxfordshire)について語るとき、先生は「イギリスの写真付きの大きなカレンダーをイーゼルにのせ」(P64)、オックスフォードシャーはイギリスのこのあたりに位置する、とポインタを使って説明したりしていたのである。しかし、それがノーフォークになると、写真の掲示はせず、先生はただ「ポインタを地図の上で振って、付け足すかのように、『そしてここにあるのがノーフォークです。とてもいいところです。』と言った」(P65)という。その授業でキャシーが鮮明に覚えているのは、先生がノーフォークのことを「ロスト・コーナー」(Lost Corner)と呼んだことである。ヘールシャムには、施設の三階に「ロスト・コーナー」があった。ここは、遺失物保管所で、子どもたちはものを失くすとそこを訪れていた。(P65)先生がノーフォークのことを「ロスト・コーナー」と呼んだので、子どもたちはそれに反応し、「ノーフォークは、イギリスのロスト・コーナーで国中でなくなったものは、ここに流れ着く」(P65)と誰ともなくいいはじめたのだという。
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*括弧内の数字はページを表す。もちろん、実際にはそんなことはないのは、皆わかっていた。キャシーは、沈みゆく太陽を眺めながら、ルースがノーフォークについて次のように語ったことを振り返る。「大切なものを失くしてしまって、どんなに一生懸命に探しても見つけることができなくても、悲嘆にくれることはないわ。だって、一縷の望みがあるでしょう。いつか、大人になったら、国中を自由に旅してまわれるようになったら、いつでもノーフォークに行って、また見つければいいんだもの。」(P66)完全に自由になることはない彼女たちが、ノーフォークを訪れたときにいったい何を見つけたかったのか、一考させられる場面である。