リベラルアーツ英語検定クイズロミオとジュリエット > 2014年11月06日更新分(2/3)

《第2問》
シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』(※)に材源を提供した物語『ロミウスとジュリエットの悲劇物語』(1562)の作者は誰か?
※ 以下、断りがない限り『ロミオとジュリエット』はシェイクスピア作の劇『ロミオとジュリエット』を指す。

正解

不正解

解説

アーサー・ブルック(Arthur Brooke, ? - 1563)の手になる『ロミウスとジュリエットの悲劇物語』(The Tragicall Historye of Romeus and Juliet, 1562)は、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』の材源であり、シェイクスピアは筋の展開から言語使用に至る細部までこの物語に倣っている。

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イタリアの民話を取材したバンデロ(Matteo Bandello, 1485-1561)による物語に挿話を加えフランス語に翻訳したブアトー(Pierre Boaistuau, c. 1517-1566)の散文形式の物語を改編し、英語の韻文形式に書き直した物語が、アーサー・ブルック(Arthur Brooke, ? - 1563)の手になる『ロミウスとジュリエットの悲劇物語』(The Tragicall Historye of Romeus and Juliet, 1562)である。これがシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』の材源であり、シェイクスピアは筋の展開から言語使用に至る細部までこの物語に倣っている。北川悌二訳『ローウミアスとジューリエット』(北星堂、1979)という邦訳があり、日本語でも読むことができる。
 シェイクスピアに代表される近代初期の芝居には、一部の例外を除けば、ほぼすべてに材源が存在する。シェイクスピアの材源は、ロンドン大学教授であったジェフリー・ブロー(Geoffrey Bullough, 1901-81)のライフワークによって八巻本にまとめられており(Narrative and Dramatic Sources of Shakespeare, 1957-75)、現在ではそれが材源研究(source studies)と称される研究の拠り所となっている。シェイクスピアの作品をその材源と比較して読むと、そこにはいつも刺激的な発見がある。
 ちなみに、a) ジラルディ・チンチオ(Giovanni Battista Giraldi Cinthio, 1504-73)は、『オセロー』(1603-4)の材源が取材された『百物語』(Hecatommiti, c. 1565)の作者であり、b) サクソ・グラマティカス(Saxo Grammaticus, c. 1150-c. 1220)は、『ハムレット』(1600-1)の材源と考えられているアムレスの物語が取材された『デンマーク史』(Gesta Danorum, c. 1150-1200)の作者。

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