《第94問》
第一次教育使節団は教育全般にわたる勧告をおこなったが、それらを日本側に強制したか。
正解
不正解
- 強制していない
- 強制した
- 強制するよう総司令部に求めた
- 強制していない
- 強制した
- 強制するよう総司令部に求めた
- 解説
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使節団報告書の「前がき」に、「連合国軍最高司令官は、日本の教育に関する諸問題につき総司令部ならびに日本の教育者達に助言を与えかつ協議するために(中略)陸軍省に要求した」と、使節団招聘の理由を述べている。その使節団報告書は、副題「-連合国軍最高司令官に提出されたる-」とあるようにマッカーサー元帥に提出されたもので、GHQの勧告文書でもない。マッカーサーは報告書を公表するにあたり付した「声明」でのなかで、「教育原理ならびに国語改革に関する勧告の中には余りにも遠大であって、長期間の研究と今後の計画に対する指針として役立ちうるに過ぎないものもあろう」「日本国民の努力によつて達成されるべき教育改革は」、と彼の姿勢を述べている。CI&Eでの1946年5月13日の会議では、「使節団の勧告は勧告にすぎない」との意見も表明されている。使節団の勧告について、報告書は「前がき」で、「使節団は、実行に移すべき数々の事がらを、提案していることがわかるであろう。これらは大部分、すでに日本の教育界に強く現れている傾向を支持するものである。少数ではあるが、中には教育の組織を根本的に変えなくてはならぬ実行方法を、提言しているのもある。事をはかどらせるためには、教育者のグループが使節団の残して行った後を引きついでできるだけ早く適当な変化をもたらすよう努めなければならぬ」と述べている。「序論」では、「われわれはわが国の制度をうわべばかり真似たものを見せられて、よい気になったりはしない」、「われわれはあくまで、われわれが苦心して考え出して実行してきたことだけを、日本にすすめたいと思う」と述べるが、第1章の「日本の教育の目的および内容」のなかでは、「教育は真空の中では行われないし、また民衆の文化的過去との関係をすっかり断ち切ってしまうことも考えられない。今日のような重大な時機においてさえなんらかのつながりがなければならない」と述べている。なお、ストッダード団長は「連合国軍最高司令部のどのレベルからも、教育使節団報告書の内容への何らの干渉もなかった」(THE PURSUIT OF EDUCATION An Autobiography, p.82)旨を述べている。ストッダード団長、長老のギルダースリーブ団員の文書からは、使節団は勧告をするが実行は日本が決めること、というスタンスが伺える(『国字ローマ字化の研究改訂版』110頁)。