《第30問》
スペインの現代児童文学を代表する作家、ファン・ファリアスの『日ざかり村に戦争がくる』(宇野和美訳 堀越千晶画 福音館書店 2013年刊)は、スペイン内戦を背景としている。さて、村では教会の鐘を鳴らすのは男の子の仕事である。とむらいの鐘のリズムが乱れていると死んだ者がうまく天国に行けないと叱られる。では、軍に抵抗して処刑された村の男たちを葬るさい、その鐘は鳴らされただろうか。
正解
不正解
- 軍への抵抗を示すために、鳴り響かせた
- 軍をはばかり、音を出さずに打ち鳴らされた
- これ以上死者をださないために、鳴らさなかった
- 軍への抵抗を示すために、鳴り響かせた
- 軍をはばかり、音を出さずに打ち鳴らされた
- これ以上死者をださないために、鳴らさなかった
- 解説
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とむらいは反乱軍が帰った後、「万事しかるべき形でとりおこな」うこととされたが、弔鐘は「鐘の舌を毛布の切れ端で包」んで打ち鳴らされた。スペイン内戦は、1936年に共和制政府に対し軍部が反乱を起こして始まった。ソ連やヨーロッパ各国の思惑もからみ、市民同士が戦う内戦は3年続き、反乱軍が勝利した(その後、スペインは反乱軍の指揮をとったフランコ将軍の独裁となり、1975年の将軍の死後、ようやく民主主義に移行した)。「日ざかり村」は内戦の戦場にはならなかったので、戦闘や爆撃の描写はない。しかし、主人公ルナ少年の目を通して、人と人の関係も日常生活もこわしてしまう戦争のおそろしさと愚かしさの本質を描いている。