《第72問》
『ペロー昔話・寓話集』(シャルル・ペロー/作 末松氷海子/訳 西村書店他)は、民間に伝承されているお話をシャルル・ペローが再話したもので、『シンデレラ』や『長靴をはいた猫』『眠りの森の美女』『赤ずきん』などがよく知られている。さて、『赤ずきん』のお話で、伝承にはないが、ペローが独自に付け加えたものがある。それは次のうちのどれか?
正解
不正解
- 母親が作った赤いずきんをかぶっている
- オオカミが先回りしてお祖母さんを食べる
- オオカミは退治され、赤ずきんは助かる
- 母親が作った赤いずきんをかぶっている
- オオカミが先回りしてお祖母さんを食べる
- オオカミは退治され、赤ずきんは助かる
- 解説
-
伝承ではたんに「小さな女の子」であり、赤いずきんはかぶっていない。赤は血の色であり、生命の色でもあり、印象的で読者に受け入れられたのだろう。
ペローはこの童話集をルイ14世の姪の19歳の王女に捧げている。子ども向けの読み物としてではなく、王家や貴族のサロンで朗読して楽しむものとして書かれた。やさしそうなオオカミは危険だという教訓が述べられ、赤ずきんは食べられたままで終わる「恐怖民話」「警告民話」の形をとっている。
ちなみに、伝承にあった「殺したお祖母さんの肉や血を赤ずきんに食べさせる」「服を脱いでベッドに入るようにオオカミがいう」をペローは採用しなかった。残酷な場面とエロス的場面は敬遠したのだろう。
なお、ペローの童話集を参考にしたといわれるグリム童話集の『赤ずきん』は、悲劇で終わらず、赤ずきんもお祖母さんも猟師によって助かっている。伝承の中には、赤ずきんが自力で逃げだすというのもあるそうだ。