リベラルアーツ子ども検定クイズ占領期米国教育使節団 > 2017年03月02日更新分(1/1)

《第41問》
安倍能成文部大臣は、第一次教育使節団に対する挨拶(1946年3月8日、於華族会館)のなかで、「敗戦国たる敗戦国民たることは苦しい試練であり、困難な課題でありますが、同時に敢えて失礼を申せば、よき戦勝国たり戦勝国民たることも中々困難であります。我々は戦敗国として卑屈にならざらんことを欲すると共に、貴国が戦勝国として無用に驕傲ならざるを信じる者であります。(中略)一国の文化や教育が国際性と同時に国民性を尊重しなければならぬのは明白なことであります。(中略)この意味に於いてアメリカが、アメリカ的見地を以て簡単に日本に臨むことのなからんことを願ひます。かゝる態度で日本が朝鮮や支那に臨んだことが、日本の失敗であつたことは諸君の御承知のことであります。(中略)我々は併し決して我々の文化や教育の特異性をその特異性自身の為に固執するものではありません。」(旧漢字は改めた)などと述べたが、この挨拶は全体的にどのように受け取られたか

正解

不正解

解説

挨拶文は安倍能成『戦中戦後』白日書院、昭和21年、219-231頁から引用した。安倍文相の挨拶文 An Address to the U.S. Education Mission は米国の教育専門誌 SCHOOL AND SOCIETY (August 3,1946. Volume 64 Number 1649)に紹介されている。前掲『神谷恵美子著作集9 遍歴』には、「三月八日の安倍大臣の教育使節団に対する挨拶の英訳を担当。ニューゼント中佐に英訳原稿を持って行かれ、これは英字新聞に載った。」(244頁)旨の記載がある。当時の山崎匡輔文部次官は、「高邁な理想の香りの深い、しかも率直にして毅然たるものであつた。このあいさつが使節団に興えた感銘は、極めて深いものであつたことは云うまでもない。」(旧漢字は改めた。「ヤンキー・ゴーホーム物語 占領軍の教育行政に敢然と是々非々を以て対した日本の良識」『文藝春秋』昭和30年6月号、128頁)と記している。出題者(茅島)は、元教育使節団員A・R・ヒルガード、同CI&E教育課員M・T・オアらからの聞き取り調査も行った。

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