リベラルアーツ英語検定クイズ英語の不思議 > 2017年02月02日更新分(1/1)

《第89問》
前置詞句が主語として現れる場合、 (1) Under the chair is a nice place for the cat to sleep. は適格文なのに、 (2) By Ichiro is a good person for judging the best pitcher in the MLB. が非文になるのはなぜでしょうか?

正解

不正解

解説

前置詞句が主語になるには二つの特徴を有するという条件が必要になります。一つは「前置詞句主語は [Time], [Place], [Means]のいずれかの意味特徴を持っていること、もう一つは「前置詞句主語の述部は [+durative] (継続性という意味特徴)か[+stative](状態という意味特徴)の特徴を持つ情報的に軽い動詞でなければならない」というものです。この条件に照らすと (1) Under the chair is a nice place for the cat to sleep.「椅子の下は猫が眠るのに適した場所だ」では主語の前置詞句は「椅子の下」という [Place] の意味特徴を有しており、述部の動詞は is ですから [+stative] という特徴を有する情報的に軽い動詞という統語特徴を持っていることになります。一方、(2) By Ichiro is a good person for judging the best player in the MLB.(「イチローはメジャーリーグのベストプレイヤーとするに適任の人物だ」という意味のつもり)では述部の動詞は is だから情報的に軽い動詞ですが、主語となっている前置詞句 by Ichiro は [Agent]という意味特徴を持っている(つまり、[Time], [Place], [Means]のいずれの意味特徴も持っていない)ので主語にはなりえないのです。もちろん、前置詞句主語が [Time], [Place], [Means]のいずれかの意味特徴を有していても、述部の動詞が情報的に軽い動詞でなければ非文となります。例えば、Under the chair attracted the cat’s attention. (「椅子の下は猫が惹きつけられる所だった」という意味のつもり)では述部の動詞 attracted は情報的に軽い動詞とは言えないので非文となります。(松原 2009: 46-47 参照)

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